災害対策特別委員会(2007年11月01日)

衆院災害対策特別委員会で、自民、公明の与党で取りまとめ提出した被災者生活再建支援法改正案について、提出者を代表して提案理由を説明しました。

現行法により被災者に支給されている生活関係経費(最高100万)や居住関係経費(同200万円)について支給要件や手続きが繁雑なため利用が低迷している現状を指摘し、「早急に思い切った制度改善が必要」と強調。 改正案では経費の使途を限定し実費精算する方式から、使途を限定しない「定額渡し切り方式」へと変更することで被災実態に即した支援策となることを説明しました。

赤羽議員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 ただいま議題となりました被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党及び公明党の提出者を代表し、その提案理由及び概要を御説明申し上げさせていただきます。
 現行の被災者生活再建支援法は、平成七年に発生した阪神・淡路大震災の教訓から、平成十年に議員立法により生活関係経費の支給が制定され、その後、平成十六年に、被災者の居住の安定の確保による自立した生活の開始を支援するため、居住関係経費の支給等の措置を講ずる改正が行われたものであります。
 その際、衆参の災害対策特別委員会における附帯決議において、「居住安定支援制度等の充実を図るため、本法の施行後四年を目途として、制度の施行状況等を勘案し、制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えること。」とされたものであります。
 これを踏まえ、政府においても、検討会を設置し、法改正の検討を行っているものと承知をしておりますが、本制度の使い勝手の悪さ、支給要件の複雑さ等々が指摘され、その結果、居住関係経費の支給率が三割に満たないという状況にかんがみ、立法府として、早急に、かつ、思い切った制度改善をする必要があるとの判断から、議員立法で改正することがふさわしいと考え、提案に至ったものでございます。
 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、本法律案は、真に被災者の速やかな生活再建に資するための改正を目指すこととし、目的規定に「住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資すること」を追加することとしております。
 第二に、その目的を実現するために、現行制度の煩雑な手続、複雑な支給要件を大胆に緩和し、だれにでも容易に理解できる制度、だれにでも簡単な手続で迅速に支援金を受給できる制度、そして、被災者の生活再建の実態に即した、被災者間の不公平感を是正した制度設計となっております。
 具体的には、まず、支援金の支給方法について、現行制度では使途を限定した上で領収書等を取りつけ、実費額を精算支給する、いわゆる実費積み上げ支給方式を改め、使途の限定をしない定額渡し切り方式といたします。
 この定額渡し切り方式に改めることによって、これまでの生活関係経費について、その対象経費として三十品目だけ認められ、その上にその物品や医療費等の項目ごとに申請並びに実績報告が必要とされていた手続が一切不要となり、全壊世帯に百万円、また、これまで支給対象外でありました大規模半壊世帯に五十万円を罹災証明書ベースで一括支給されることになります。
 また、これまでの居住関係経費については、対象経費ごとに実費支給する、これを改めまして、居住する住宅の再建の方法に応じて定額を支給することとし、居住する住宅を建設または購入する世帯については二百万円、補修する世帯については百万円、民間住宅を賃借する世帯については五十万円を支給することとしております。
 この改正によって、現行制度では支給対象外となっている、全壊で補修による再建を選択した世帯に対しても支援金が支給されることになり、被災者の生活再建の実態に即したものに改善されることになります。
 次に、支援金の支給対象要件については、被災世帯の世帯主の年齢要件は撤廃することとし、収入要件については、収入合計額が八百万円以下である被災世帯の世帯主とすることとし、被災者間の不公平感を是正するものとしております。
 第三に、現行法で対象外となっている、住宅の敷地に被害が生じ、やむを得ない事由により住宅の解体に至った世帯を支援の対象として追加することとしております。
 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
 私は、十二年前の阪神・淡路大震災で住む場所を失った被災者の一人であります。また、この十二年間、被災者の生活再建を身近で見守ってきた一人でもあります。せっかく九年前に難産の末に成立したこの被災者生活再建支援法が、被災自治体や被災者にとって、理解すること、運用することが困難な制度となっていたり、被災実態に合っていない制度となっていることは、まことに不幸なことであります。本改正案は、そうした多くの問題点を解消し、かつ、当然のことながら、財政負担にも配慮しつつ、真に被災者の側に立った、被災者の迅速な生活再建に資する内容となっていることを確信しております。
 自然災害は、いつ、どこで発生するか、予知することはできません。いつ起こるかわからない災害に対応することを可能ならしめるべく、どうか皆様、党派の垣根を越え、国民の側に立っての慎重審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)