日中関係の大きなターニングポイント
五月二十三、四日、自民党の二階俊博総務会長を名誉団長とした総勢三千名を超す「日中観光文化交流団」の一員として北京を訪問した。
交流団は、絹谷幸二画伯を団長に、作家の石川好氏や大下英治氏、経団連の御手洗富士夫名誉会長をはじめ多数の観光・運輸業界の経済人、北海道・埼玉・福井・奈良の知事をはじめとする地方自治体の代表者等々、多種多様なメンバーで構成された交流団であった。
朝一番のチャーター便で北京に到着した直後に、日本大使公邸で開催された『ようこそ 日本!』フェアに参加。私も挨拶に立ち、中国語で「公明党を代表し、太田昭宏国土交通大臣の名代として、日中観光文化交流促進のために全力で頑張ります!」とのスピーチをさせて頂き、多数の中国側参加者と交流を深める場となった。
その後、中日友好協会会長の唐家璇元外相主催の昼食会に招かれ、古くて大事な友人と日中友好の今後について、肝胆相照らす会談となった。
続いて、中国文化部との間で、本年十月三十一日開催予定のN響の北京公演についての調印式に参加し、今秋の大成功を誓い合う。
そして、夕刻から、人民大会堂にて、日中総勢約四千名の参加となった「日中観光交流の夕べ」に出席。開会前の記念撮影では、習近平国家主席は、日本側の国会議員全員と握手。テレビや新聞報道を通してのイメージとは異なり随分ソフトな印象を受けた。
会合は、この日ボランティアで参加していた日本語を学習する中国の学生約三百名も会場前列の両サイドの特設席に着座し、習主席のスピーチを聴く異例な形式で開催。習主席の話は、自身の郷里の西安で、阿倍仲麻呂と李白、王維が深い友情を結ばれてから二千年以上にわたる日中友好の歴史に言及。日本の報道で大きく報じられた「日本の軍国主義による侵略の歴史を歪曲し、美化することは許さない」との箇所は、実際はスピーチ全体ではごく一部であった。最後に「青年が立てば、国家も立つ。ここに着席している若い世代が、積極的に日中友好事業に身を投じ、相互信頼を樹立し、友情を発展させていくことを励行する」と、着座の青年たちに語りかける場面は、感動的でもあった。
今回の訪中団の機会を捉えて、習近平主席自らが、日中関係改善に大きくカジを切ったことは、ここ数年停滞が続いていた日中関係において大きなターニングポイントとなったことは間違いない。日中国交回復の井戸掘り役を果たした私ども公明党が、日中友好関係を強固なものとし、アジアと世界の平和と発展に寄与できるように全力を尽くして頑張りたい。