首相に第11次提言「人間の復興」を着実に

2022年9月7日付 公明新聞より

自民、公明の与党両党の東日本大震災復興加速化本部は6日、首相官邸で岸田文雄首相に、震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に向けた第11次提言を手渡した。岸田首相は「(被災者の尊厳を守る)『人間の復興』の考え方を政府として受け止め、全力で取り組んでいく」と応じた。公明党から復興加速化本部長の赤羽一嘉幹事長代行、同事務局長の高木陽介衆院議員が出席した。

提言は、帰還困難区域への住民帰還に向けた除染着手や、来年4月に設立予定の「福島国際研究教育機構」を中核とした創造的復興に向けた取り組みなどが柱。

特定復興再生拠点区域外の対応では、自宅に帰りたいと願う住民が2020年代に一人も残らず帰還できるよう帰還意向の丁寧な把握など取り組みを着実に進めることを訴えた。具体的には、大部分の住民が帰還できていない大熊、双葉の両町において、除染から避難指示解除までのモデル事例となるよう来年度から一部地域で除染に着手し、安全・安心を目に見える形で示すことを要望した。

福島国際研究教育機構については、福島県浜通り地域に新たな産業基盤を構築する「福島イノベーション・コースト構想」の具体化を加速させる中核だと主張。中長期にわたって世界水準の成果を挙げることをめざし、長期、安定的な機構運営を支える組織体制、財政基盤の構築を求めた。

福島第1原発から出る処理水の海洋放出に関しては、関係者の不安や懸念を受け止め、漁業者・国民の理解を得るため、丁寧な説明や対話を進めることが重要だと指摘。また風評による影響が生じないよう正確な情報発信を粘り強く続けるとともに、風評被害が発生した場合の対処も求めた。

席上、赤羽幹事長代行は、7月に福島第1原発など被災地を視察したことに触れ、「難しい課題が残っている。これまで以上に国が前面に立ち、被災者に寄り添いながら、政府、与党一体で『人間の復興』の実現をめざしたい」と訴えた。