「原発に依存しない社会」へ

再稼働は安全性、住民理解が大前提 
エネルギー政策に関する公明党の考え 

政府は、エネルギー政策に関する工程表の年内取りまとめに向けた議論を続けています。こうした中、公明党総合エネルギー対策本部は12日、政府に提言を申し入れました。特に原発政策に関する公明党の考えについて、赤羽一嘉本部長(幹事長代行)が答えました。

――提言では、引き続き「原発に依存しない社会」の実現を訴えている。

赤羽 ロシアのウクライナ侵略をきっかけに、国内のエネルギー安全保障の危機が顕在化しています。今回の提言では、エネルギーの自給率向上・脱炭素化を進めつつ、安定供給を確保するため、徹底した省エネルギーの取り組みや再生可能エネルギーの主力電源化などで、公明党がこれまで訴えてきた「原発に依存しない社会」の実現をめざすよう求めています。

――原発の再稼働に対する公明党の考え方は。

赤羽 これまで通り、原子力規制委員会による世界で最も厳しい規制基準の安全検査に合格し、かつ地元住民の理解を得ることを大前提に、再稼働を認める立場です。運転期間は従来通り「原則40年、延長20年」の制限は維持。ただ、2011年の東日本大震災以降、安全審査などで稼働を停止していた期間については、原子炉は劣化しないことから、その期間分に限り、延長はやむを得ないと党として判断しました。

いずれにせよ、全国60基の原発のうち、24基は廃炉が決定。再稼働が認められた原子炉も、運転期間が終了次第、廃炉となるため、将来的に「原発に依存しない社会」は実現します。

■新増設認めず

――原発の新増設、建て替えについては。

赤羽 東京電力福島第1原発事故の反省と教訓から、原子力に対する国民の認識は今なお厳しく、新増設は認められません。

建て替えについては、一部の原発立地自治体から“廃炉が決まった原子炉の代わりに同じ敷地内に建て替えたい”との声が出たことを受け、党内で議論。結果、地元からの強い要望があり、建設する原子炉の安全性が既存原発より向上する場合に限り、例外的に、その可能性を追求することを否定しないとしました。ただ、実際に対象となりうる原子炉は、全国で2カ所と極めて限られています。

――再エネでどれくらいの電力を賄えるのか。

赤羽 太陽光や風力発電は天候に左右されるため、365日24時間、フル発電できない特性があり、再エネだけで100%電力を賄うのは困難です。党提言では、30年度再エネ比率36~38%を実現し、主力電源とするべく、政府が前面に立ち、長年の懸案事項の蓄電池の大容量化・低コスト化、発電地域から消費地への全国規模の送電網の増強などを主張。また、再エネ設備の設置に関する規制緩和など事業環境の整備や、GX(グリーントランスフォーメーション)投資を活用しての官民一体での技術開発や事業化の推進を訴えています。