与党、首相に第12次提言
新産業で雇用創出を
廃炉、ロボット、再エネなど
自民、公明の与党両党の東日本大震災復興加速化本部は6日、首相官邸で岸田文雄首相に、震災と東京電力福島第1原発事故からの復興加速化に向けた第12次提言を手渡した。岸田首相は「政府一丸となって努力する」と応じた。公明党から復興加速化本部長の赤羽一嘉幹事長代行、同事務局長の高木陽介政務調査会長、同本部長代理の横山信一参院議員が出席した。
◎国際研究機構軸に復興加速
◎住民の帰還促進へ環境整備
◎処理水放出 安全確保に万全
◎なりわい、農林水産業の再建
赤羽本部長は「福島の復興なくして日本の再生はない」と力説し、福島復興・再生に国が総力を挙げて取り組むよう要請。被災者が「個人の尊厳」と「ふるさとへの誇り」を失うことのない「心の復興」「人間の復興」を実現するため、福島浜通りを中心に、廃炉やロボット技術、再生可能エネルギー、農林水産業などの新産業を創出し、新たな雇用を生み出していく「福島イノベーション・コースト構想」具現化に向けた取り組みを後押ししていくよう求めた。 提言では、同構想の中核的存在として最先端の科学技術研究などのために国が福島県浪江町に設立した「福島国際研究教育機構(F―REI)」について、長期・安定的に活動できる基盤を構築できるよう、本施設の供用開始時期を可能な限り前倒しするよう要請。また、国内外の優秀な研究者が参画する姿をめざすよう訴えた。 廃炉に向けた燃料デブリの取り出しに関しては、国と東電、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が一体となり、内外の知見を集めた集中的な検討が必要だと強調した。 一方、原発事故に伴う帰還困難区域のうち、先行して除染していた「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)外で住民帰還をめざす「特定帰還居住区域」について、帰還・居住に向けた取り組みを進める重要性を指摘。同区域の計画認定や除染、インフラ整備を着実に進めるよう要望した。 福島第1原発処理水の海洋放出については、引き続き緊張感を持って安全性確保に万全を期すとともに、風評被害の抑制や漁業者が安心して事業継続できる支援に国が責任を持って取り組むよう強調。放射性物質の除染で生じた「除去土壌」の最終処分に関しては、除去土壌の再生利用へ「再生利用基準」の策定に向けた技術的な検討や利用先の創出に関する体制整備を要望した。 また、東日本大震災からの知見を生かし能登半島地震の復旧・復興に政府一丸となって取り組むよう訴えた。