街のバリアフリー進む

劇場、競技場などにも 
車いす用客席を義務化 
建物内の専用トイレ、駐車場も大幅に増加 
国交省が基準見直し

障がいの有無などにかかわらず誰もが安心して暮らせる共生社会の実現へ、街のバリアフリー化がさらに前進する。国土交通省は建築物のバリアフリー基準を見直し、劇場や競技場など客席を備えた施設を対象に、車いす使用者用客席を一定数以上設置することを義務付けた。

斉藤国交相(中央)に提言を申し入れる党バリアフリー施策推進PTの石川博崇座長(左端)ら=5月28日 国交省

国交省は6月18日にバリアフリー法の施行令を改正する政令を閣議決定。施行は2025年6月1日で、新基準はこの日以降に着工する延べ床面積2000平方メートル以上の施設に適用される。 車いす使用者用客席は、施設の総客席数が400席を上回る場合、その0.5%以上の設置、同400席以下で2席以上の設置が義務付けられる。 一方、今回のバリアフリー基準の見直しでは、建築物に「1以上の設置」とされていた、車いす使用者用のトイレや駐車場に関する基準も見直した。商業施設など不特定多数の人が利用する建築物における設置数の基準を大幅に引き上げた。 具体的には、専用トイレを原則として各階に1カ所以上設けることを義務化。専用駐車場については、全体の駐車台数が200以下の場合はその2%以上、200超の場合はその1%+2以上のスペースが必要とした。

公明の提言実る

こうしたバリアフリー基準の見直しは、公明党バリアフリー施策推進プロジェクトチーム(PT)が今年5月に斉藤鉄夫国交相(公明党)に申し入れた「建築物のバリアフリー化の推進に関する提言」で訴えていたものだ。 提言はDPI(障害者インターナショナル)日本会議の意見を踏まえて作成。今回の見直しに関する要望のほか、車いす使用者が観劇やスポーツ観戦をより楽しめるよう、専用客席の前席の人が立ち上がっても視界が遮られないなど、サイトライン(可視線)の確保などについても要請している。