帰還促進へ除染早期に
廃炉作業、国の責任で進めよ
与党、首相に第13次提言
自民、公明の与党両党の東日本大震災復興加速化本部は29日、首相官邸で岸田文雄首相に対し、震災と東京電力福島第1原発事故からの復興加速化に向けた第13次提言を手渡した。岸田首相は「責任を持って財源を確保し、息の長い支援に全力で取り組む」と応じた。公明党から復興加速化本部長の赤羽一嘉幹事長代行、同本部長代理の横山信一参院議員、庄子賢一衆院議員が同席した。
提言のポイント
▽処理水対策 安全・着実に
▽移住・二地域居住を推進
▽新産業集積の求心力向上
▽なりわい、農林水産業の再建
▽東北各地の周遊観光誘客
提言では、原子力事故災害からの復興・再生に向けて、廃炉や処理水対策を安全かつ着実に進めるよう要請。特に、同原発2号機での燃料デブリ(溶け落ちた核燃料)の試験的取り出しにおける事案を受け、東京電力自らが協力会社任せにせず、国も全作業に責任と緊張感を持って取り組むよう強く求めた。 帰還促進への環境整備については、「特定帰還居住区域」の除染やインフラ整備を早期実施するほか、移住・定住のみならず、二地域居住や交流・関係人口の拡大への取り組みを訴えた。 なりわい再建と新産業創出では、福島イノベーション・コースト構想の具現化へ、同構想の中核的存在である「福島国際研究教育機構(F―REI)」の研究開発への支援強化を強調。来年4月にF―REIに統合される福島ロボットテストフィールドを巡っては、災害訓練などの活用、衛星・宇宙関連の将来の産業化を見据えた環境整備などを含め、産業集積の求心力を高めるよう要望した。 また、浜通り地域の復興を観光資源としたホープツーリズムをはじめ、福島空港の活用や二次交通の整備、東北各地の周遊観光の誘客への取り組みも明記した。 一方、地震・津波被災地域については、心のケア支援など柔軟な制度の運用や、震災遺構や伝承施設などと連携した震災の記憶と教訓を後世へ継承することなども掲げた。 席上、赤羽本部長は、第2期復興・創生期間が来年度で最終年度となることを踏まえ「故郷に帰りたいと願う住民が一人も残らず帰還できるよう、政府・与党一体で期間後も切れ目のない取り組みを進めたい」と力説した。