高校生の扶養控除、縮減せず
「103万円の壁」引き上げへ自公国で「引き続き協議」
与党税制改正大綱が決定
自民、公明両党は20日、与党政策責任者会議で2025年度の与党税制改正大綱を決定した。子育て世帯など家計の所得向上を後押しすることが柱。公明党の強い主張により、高校生年代(16~18歳)の子どもがいる親の税負担を軽くする扶養控除を縮減せず維持する。物価上昇への対応として、所得税が課され始める年収「103万円の壁」を123万円に引き上げる。
大綱決定後の記者会見で、公明党税制調査会の赤羽一嘉会長(副代表)は、「所得の向上、子育て支援、中小企業支援に重点を置いた税制改正になった」と強調。その上で、17日成立の24年度補正予算に物価高対策などが盛り込まれたとし、税制と合わせて国民生活を守っていくと力説した。
大綱では、公明党の主張が随所に反映。例えば、24年に結論を得るとしていた高校生年代の扶養控除の見直しに関し、所得税の控除額(年間38万円)、住民税の控除額(年間33万円)それぞれの現行水準を維持。併せて、住宅ローン控除は子育て世帯などを対象に借入限度額の上乗せ措置を1年間延長する。
「103万円の壁」については、食料など生活必需品の物価が1995年から20%程度上昇している現状を踏まえ、来年から引き上げる。具体的には基礎控除を58万円、給与所得控除の最低保障額を65万円と、それぞれ10万円ずつ上乗せする。また、与党と国民民主党の3党幹事長による合意を踏まえ、「引き続き、真摯に協議を行っていく」と明記した。
大学生らが働き控えをする一因と指摘される特定扶養控除の年収要件も拡充。子どもの年収が103万円を超えると親の税負担は増えるが、来年からは年収要件を150万円に引き上げる。これに加え、150万円を超えても控除額が段階的に減る仕組みを設ける。
■中小企業の軽減税率、2年延長
中小企業の賃上げに向けては、中小企業の800万円までの所得に適用される軽減税率の特例措置を2年間延長。売上高100億円をめざす中小企業の設備投資支援も拡充する。
防衛力整備のための財源確保に向けては、公明党の提案により、所得税は家計所得を向上させる政策との整合性を考慮し、引き上げ時期決定を先送り。法人、たばこ税は26年4月からそれぞれ引き上げる。
マイカー通勤者の通勤手当に適用される非課税限度額については、急速なガソリン価格高騰などを背景に「迅速に見直しを行う」と記載した。
■税制改正大綱のポイント
・高校生年代の扶養控除を維持
・住宅ローン控除の上乗せ1年延長
・年収「103万円の壁」→来年から123万円に
・特定扶養控除の子どもの年収要件を103万円から150万円に
・中小企業の軽減税率特例を2年延長