一昨年の3.11福島第一原子力発電所の不幸な事故を経験したわが国のエネルギー政策は、①安全第一、②低廉な電力の安定供給、の連立方程式を解決するものでなければなりません。
今通常国会で、私は経済産業副大臣として、福島第一原発事故の教訓から再生可能エネルギーを実用化するための「電気事業法の改正案」を国会に提出しました。その具体的内容は、太陽光や風力発電所で製造される電力を消費地に自由に送電できるための送配電の中立化や送電網の充実等が盛り込まれた電力システム改革を進める画期的な法案です。
国会の審議時間も30時間以上費やし、民主党の意見も取り入れて衆院では修正可決し、参院に送られましたが、通常国会最終日に安倍総理に対する問責決議案の可決という党利党略の茶番劇によって、本法案は廃案となってしまいました。結局、電力システム改革・エネルギー政策の転換は先送りとなってしまいました。私は、この野党の暴挙は、まさに3.11福島原発事故の被害者に対する冒涜であると考えます。
先の参院選で、全ての野党が、エネルギー政策として「脱原発」を公約に掲げました。しかし、脱原発を目指すならば、何故、再生可能エネルギーを実用化するための「電気事業法の改正案」を潰したのでしょうか?
電力システム改革を阻んでおきながら、選挙目的で「脱原発」を主張するのは、ライフラインそのものの電力の安定供給の放棄と同義であり、国民生活に対してあまりにも無責任極まりない行為であると糾弾せざるを得ません。
参院選におけるエネルギー政策の論戦が低調だったとのマスコミからの批判がありましたが、国民の大半は、安定的に低廉な電力の供給を実現するには、はじめに原発ゼロありきでは立ち行かず、安全性が確認された原発は再稼働させつつも再生可能エネルギーの実用化に全力をあげ、やがては脱原発依存のエネルギー政策を進めてほしいとの極めて現実的な常識論を持たれていたのではないでしょうか。