【政治姿勢】井上幹事長は冒頭、民主党政権の政策的な矛盾と不誠実な政治姿勢、国民感情とのズレを指摘。2011年度予算案の編成直後にマニフェスト修正に言及したことについて「修正するのであれば、国民・有権者に対して契約不履行を心からお詫びし、改めて信を問うべきだ。それができなければ総理の職を潔く辞すべき」と批判した。
さらに菅首相から、首相就任後わずか4カ月で内閣を改造せざるを得なかった失政への謙虚な反省の弁がなく、施政方針演説の中身も具体性を欠き、国のあるべき姿が示されていないと追及した。
【景気・経済、予算案】 井上幹事長は民主党政権を批判してきた与謝野馨氏が経済財政担当相として入閣した点に触れ、「民主党に経済政策がなかったが故に任命できたのではないか」と批判。
また、11年度予算案に関して「“国民不在”“理念不在”“リーダーシップ不在”の中、『マニフェストありき』で迷走を重ね、国民生活の安心・安全のための予算とは程遠い」と酷評。財源確保ができず、公約の期限内の実現は困難として「マニフェスト破たんを認め、撤回の上、国民に謝罪すべき」と訴えた。
菅首相は党内でマニフェストの検証を行う方針を示し「見直すとの結論を得た際は国民に丁寧に説明し、理解を得たい」と答えた。
【社会保障・医療】 井上幹事長は、首相が社会保障の与野党協議を呼び掛けているものの、民主党が掲げる年金改革などの具体案が一向に示されないことを批判。「まずは民主党案を示すことがすべての大前提だ」と主張したのに対し、首相は4月までに方向性を明らかにし、「6月までに具体的な制度改革案と消費税を含む税制抜本改革案を提示したい」との考えを示した。
一方、井上幹事長は、政府の「がん対策推進基本計画」に触れ、11年度までに検診受診率を50%に引き上げることなど、目標達成への決意をただした。首相は、11年度からは大腸がん検診にも無料クーポンを導入するとした上で、「がん対策の推進に全力で取り組む」と述べた。
【農林水産業】 井上幹事長は、環太平洋連携協定(TPP)参加をめぐり、貿易自由化と農業再生を両立させると主張する菅首相に対し、農業再生に不可欠な構造改革の「具体策がまったく見えてこない」と批判。民主党農政を「幻想であり、場当たり的」と指摘し、担い手育成・支援など農業ビジョンを明確に示せと迫った。菅首相は「指摘は当たらない」と逃げた。
【地域主権】 井上幹事長は、公明党が今月12日に発表した「地方議会改革への提言」を踏まえ、議会の首長へのチェック機能強化を主張。地方自治法の改正に関して「議長への議会招集権付与や通年議会化、地方議員の法的な位置付けを明確にすべき」と訴えた。
【外交・安保】井上幹事長は、民主党政権による米軍普天間飛行場移設問題の迷走を厳しく批判。「菅首相は、この問題の根本的解決を図る責務がある」と指摘し、「例えば、地位協定の見直しをどう進めるのかについて、具体的な一歩が示されない限り、沖縄県民は政府・民主党への疑念を晴らすことはない」と力説した。
【政治改革】 井上幹事長は、小沢一郎・民主党元代表の「政治とカネ」の問題について「小沢氏の説明責任はいまだに果たされていない」と強調。また、公明党提出の政治家の監督責任を強化する政治資金規正法改正案の今国会での成立も求めた。
菅首相は、小沢氏の衆院政治倫理審査会への招致が実現していないことを「申し訳ない」と謝罪した上で、「いずれにしても国会での説明は必要」と答弁。政規法改正については、今国会中の結論をめざす考えを示した。